広島高等裁判所 昭和26年(う)870号 判決
検察官の所論は被告人の物品税法第十八条に該当する本件各所為はいずれも昭和二十一年八月より同二十二年八月迄の間になされたものであつて犯意継続に係るものであるから昭和二十二年法律第百二十四号附則第四項により改正前の刑法第五十五条を適用一罪として処断すべきに拘らず原判決が何等の判断をも示さず本件所為の一部についてのみ刑法第五十五条を適用し他を併合罪として処断したのは理由不備の違法があるというのである。しかし改正前の物品税法第十八条の罪については刑法第五十五条を適用しない旨の規定は存しないが物品税法第十八条が詐欺その他不正の行為により物品税を逋脱し又は逋脱せんとした者に対しその逋脱し又は逋脱せんとした税金の五倍に相当する罰金を科する旨規定しているところから考えると同条の罪については刑法第五十五条の適用なきものと解するが相当である。従つてこの同罪につき刑法第五十五条の適用あることを前提とする検察官の所論は採用できない。
同第二点について。
(省略)
職権によつて調査するに原判決は判示第一の(一)乃至(四)第二乃至第五として物品税法第十八条に該当する八個の所為を認定しその中第一の(一)乃至(四)の所為は犯意継続に係るものとして刑法第五十五条をこれに適用しているけれども物品税法第十八条の罪については刑法第五十五条の適用なきこと前記説明のとおりであるから原判決には法令の適用を誤つた違法あるものといわねばならない。而して右の違法は判決に影響を及ぼすこと明白であるから原判決中判示第一の(一)乃至(四)事実に関する部分はこの点において破棄を免れない。